2010年1月 2日 (土)
山ぶどうの籠

以前からずっと欲しかった山ぶどうの籠を、昨年11月やっと手に入れた。旅先の青森、弘前の工芸店で、迷うに迷ってとうとう買ってしまった。
ご存知の方も多いと思うが、手作業で丹念に編まれた山ぶどうの籠はかなり高価なもの。その店には、他にあけびの籠などもあり、そちらも決して安くはないのだが、山ぶどうに比べたらかなりお手頃だ。デザインもいろいろあり、普段持って歩くには遜色ない。ただあけびの籠は何年たっても色にはそう変化がないとのこと。そう、私が山ぶどうの籠にこだわるのは、その色の変化だ。年数が経つにつれ、赤茶色のぶどうの蔓はつやをおび、飴色、そして最後は黒に変わっていく。編み上がって終わりではなく、私たちの手の油により、さらに輝きを増し、作品として完成する。同時にかびや虫などにも強くなり、丈夫になっていくという。モノがただのモノではなく、年数がたつに連れ、私たちと共に変化し熟成していく。それが何とも言えない魅力だ。
しかし、今の私には、当然この籠を即買えるほど経済的余裕はなく、まだまだ分不相応という気もする。でも次いつここに来られるかわからない。
そして一晩悩んだ末、最後決め手になったのは、お店の人が見せてくれた3つの籠。1つは10年たったご本人のもの、もうひとつはやはりご本人の30年もの、そして最後の1つは、お母様が50年使っているという籠。10年のものは、お店に並んでいる新しい籠の赤茶色が少し濃くなり、ところどころ飴色や黒に変化している。そして30年ものは、その飴色が全体に広がり、さらに50年ものは、もうほとんど黒光りしていて、籠というよりは皮のバッグのよう。思わずため息が出た。そして思った。50年先は多分生きていないだろう。万が一生きていたとしても、この籠を持って歩けるような状態ではない可能性が高い。30年だってもうおばあちゃんだ。ならば、この美しい変容をできるだけ長く味わいたいのなら、1日でも早くこの籠を手に入れなくてはならない。
・・とここまで考えつくと同時に、私の口からは「これいただきます」と言葉が出ていた。
それ以来、出かけるときはできるだけこの籠を持ち歩くようにしている。できるだけ早くその色の変化を楽しめるように。そしていつの日か、芭蕉の着物を着て、飴色に変化したこの籠を持って歩きたい・・そんな新しい夢がまた一つできた。

我が家の愛犬ジジもお気に入り。