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ぬぬパナ・リレー日記

ぬぬぬパナパナの活動に携るみんなの日記です。主には「うちくい展」の出展作家が日記をリレーしていきます。制作に係わるコト、日々の雑記も含めた、各地からの便りです。
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2010年3月 4日 (木)

紅露工房合宿 ~マブリ~

波照間良美

「マブリ」とは、島言葉で「魂」の事。沖縄本島では「マブヤ~」と言う。

波照間チーム大林からリレー日記を引き継いだ私は、今、困っている。私が書きたい事のほとんどを、大林が書いてしまっているからだ。が、しか~し、私にしか書けない事がきっとあると信じて書き始めた次第であります。はい。

紅露工房合宿は、波照間島生まれの私にとって、今までよりもずっと深く波照間の事を考えさせられた一週間であった。今回は、植物の繊維を糸にするまでの工程が特に私の心に染み込んだ。植物と私の共同作業なんだな、これは。私一人では決して生まれない糸。心がぶるぶると震えてしまった。やはり、料理と似ている。

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石垣昭子・金星夫妻の家の隣に、茅葺き屋根の家があり、庭には満開のツツジと朝陽を受けたブー(苧麻)がつやつやと私たちを待っていた。この時期のブーを春ブーと言い、とてもいい糸になるそうだ。鎌でブーを刈って、素手で、葉を勢いよくジャッと落とす。それをパキッと折りクキッとして、二枚に分けてシャーッと脱がしていく。脱がされた茎は、火種にするのでまとめて置いておく。適当な束にして水に漬けておいたブーをパイ(鉄のこそげ落とす道具)か、エービ(竹のこそげ落とす道具)で繊維以外をこそぎ落としていく。水に漬けすぎると糸が毛羽立つそうだ。そして生まれた糸は、浅黄色のような透明な美しい緑色だった。この一連の作業は私の性格にピッタリ合っているようだ。頭の中では波照間のブーの事を考えていた。

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波照間にもブーがある。今ではもう見られないが、マブリツケ(魂と肉体を繋ぐ儀式)と言って、女が嫁に出る時にマブリツケをする。生家を出ても自分の魂が自分の場所にあるように、迷わないように、とマブリツケをする。島の女の成人式のような儀式。私の時は、本家のおばあが大切に守ってきたブーを糸にして、マブリツケが上手な近所のおばあが、香の煙に糸をかざしながら、ブーヌパンという祈りの言葉を唱え、私の身体の「首」と名のつく部分にブーを結ぶ。両手首に5本、両足首に7本、首に9本のブーを結んだまま、三日間はずさない。その後はお守りとして大事にしまっておく人が多いが、私の叔母さんのように自分の寝床の頭の方の壁にぶら下げている人もいる。島の女にとって、ブーは聖なる大地の糸である。マブリツケとは島の大地と契りを結ぶ事なのだなと思った。そうやって何代もの女たちが、マブリのバトンタッチをしてきたのだ。もうそれもだんだん途切れて来ているのを感じている今の私たちの世代は、これから一体どうやって次世代にバトンタッチをすればいいのか?その危機感は、私達チームが波照間の染織復活の第一歩としてピヌムトゥ工房を立ち上げた力にもなっているのだ。

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こんな風に、ブーの作業をしながら、つらつらと色々な事が、降って湧き、湧いては浮かび・・・先人の女たちはどんな事を考えながらこの作業をしていたのだろうか。