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ぬぬパナ・リレー日記

ぬぬぬパナパナの活動に携るみんなの日記です。主には「うちくい展」の出展作家が日記をリレーしていきます。制作に係わるコト、日々の雑記も含めた、各地からの便りです。
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2010年3月 7日 (日)

時の流れ

葛西由貴

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便利な物に頼らざるをえない世の中。モノはドンドン進化し、機能性があり、小さくて、簡単で便利。時間をかけずに。オウチで出来る。ボタン1つで。よく聞くフレーズ。。誰かと連絡取りたかったらわざわざペンをとらなくても携帯でメールも電話も出来、買い物に行かなくてもネットでクリックしたら商品がオウチへ届く。実際私もこの便利な物たちのお陰で、気軽に遠くにいる家族や友人と連絡をとったり、ネットで島では手に入らない物を買ったりする。確かにすごく便利ですよね。

けれど友人から手書きの手紙を貰った時、メールでは感じることが出来ない字の温かさや思い。山に住む祖父母のもとへ、車では30分の道なりを4時間歩いて会いに行った時のいつも以上に嬉しそうな顔。自分で作った膝掛けを友人にプレゼントして大事に使ってもらったり。食に関しても時間とお金をかけて現地へ行き、現地の人や環境・空間に触れながら頂くものは美味しく感じる。時間がかかることや時間をかけることは大事なことで、その場面に出会したり、物を手にとった時に、作り手の顔や思い、その敬意や光景が出てきてシッカリ伝わる。伝わった時、その出来事や物は大切に扱われ重宝される。

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紅露工房の合宿で糸芭蕉とチョマを収穫から糸を紡いでクダ巻きまでしました。写真はその前の前の段階の「チング巻き」の状態です。工程は同じはずなのに完成したものを見ると4人それぞれ違うもので、皆の人柄で出てるように感じました。出来上がったのを見ると、沢山収穫したのに残った繊維はほんのわずか。今まで見てきた糸とは見た目も手触りも光沢も違っていて高級感がありました。大事に使わなければ。。糸を作るのに、こんなにも工程と時間が必要だったとは知りませんでした。最初に糸芭蕉の帯は一反数百万と聞いた時は高い。。と思ったけど、実際やってみると納得です。

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しかしこんなに素敵な糸。この糸を作る作業は5年後にはなくなるだろうと言われているそうです。確かにこんなに時間をかけてわずかの糸を作るより機械の力で安く大量に作る糸の方が手に入れやすいし、身近にありますよね。でも人の手で時間をかけて植物から糸を作れるということは、これから先消えてはならないことで、これから先もずっと残していかなければならないはずです。

最近は、物が簡単に手に入るお陰で素材の知識が薄いそうです。普段は売り物の魚の切り身しか見ていないので、泳いでいる魚を見た時、何という魚かわからなかったり、野菜・果物も土の中に出来るモノか外に出来るモノなのか、どんな木に実るのか、どんな花が咲くのか知らなかったり。

どういう過程で、どれだけ苦労してそのモノが作られたのか、ということに興味を持ったり知ることが大事で、当たり前と思ってはいけないと思います。

新しいモノばかりではなく古いモノこそ大事にしていかなければならないと糸作りで学びました。