うちくい展:2008年の活動
うちくい展 2008「オトコゴノミ」
東京展 2008年4月10~13日
「うちくい展」の出展作家の多くは、着尺や帯を制作している。また「ぬぬぬパナパナは」、ゆくゆくは着尺に取り組みたいという若者たちの勉強の場でもある。彼らを支援するためには、たとえ年1回の展示会であれ、「キモノの販売」は必須となった。問屋、呉服屋という流通経路の様々な過程をすっ飛ばすことにより、消費者もより安価に入手できるのだ。そのためには、信頼できる和裁士+メンテナンスを請け負うシステムをつくらねばならない。2007年はそのシステムづくりに費やされたが、ようやく自信が持てる「チーム」ができた。
タイトルの「オトコゴノミ」は、私のコノミでもある。オトコでもオンナでも着られるような、すっきりとした着物、用尺を含めてのユニセックスな着尺をテーマに開催した。
また、沖縄の自然に育まれた「布」を、都会のビルの自然光も差さないような場所で発表することだけはしたくないと、常々思っているので、展示会場探しもタイヘンだが、今回はそれぞれの土地ならではの「場」を得られ、幸いだった。京都では繁華街の真っ只中で町屋の風情を残しつつ、安価にて若手アーティストに発表の場を提供してくださる、葛切りで有名な「鍵善」さんのギャラリー「空 鍵屋」。東京では、音楽家・映画俳優として名高いピエール・バルー氏の夫人であり、自身も絵を描き、唄・絵画のイヴェントのプロデューサーでもあるあつこ・バルーさんの根城、「ラ・ミュゼdeケヤキ」。樹齢200年の大ケヤキと共にある豊かな空間にご来場くださった皆様は、ひと時の安らぎを覚えていただけたと思う。そして、これらのクセの強い空間にさりげない「しつらい」を施すことにより、うちくい展の布たちを、より一層活かしてくれた、庭師の田村文雄氏の力量にも敬服した。
京都・東京の両会場のオーナーもまた、伝えていきたい文化、そこから生まれる新しい文化を模索し応援しておられる。このような心ある方々と共に自信を持って「うちくい展」を続けていきたいと思う。
出展作家
与那国島 染織:つのだれいこ、長浜徳美
西表島 染織:紅露工房(石垣昭子・森田美幸)、亀田恭子、呼子先、永谷昌子、安本千夏
竹富島 染織:島仲由美子
石垣島 染織:森 伸子、からん工房(深石美穂)、滝沢 都、上原久美、高階 章、大浜 豪/焼き物(東京展のみ):宮良 断、宮良ゆうな
宮古島 染織:上原則子
多良間島 染織:西筋ヒデ、浜川史江
沖縄本島 染織:大城拓也+原 千絵、白井 仁、近岡恵子、平山ふさえ、平澤美和子/家具(東京展のみ):木創舎(城間光雄)
九州 染織:荒木美加、山恵
京都 染織:高橋裕博、平林久美
東京・横浜 染織:西川晴恵、吉田美保子/和裁:山本秀司
主催:ぬぬぬパナパナ
企画:浦令子
フライヤー編集・制作:江副直樹
フライヤーデザイン:岩下建作
協賛:鍵善良房、下村ねん糸、やいま中央クリニック
後援:八重山毎日新聞社
京都展(2008)
場所:空 鍵屋(京都市東山区祇園町南側花町570-107)
内容:展示、販売、レクチャー
入場者:463名(記帳者数)
キモノをお召しになった来場者が多く、それぞれに個性的な、こだわりのある組み合わせを楽しませていただき、とても勉強になった。なかにはキモノを着用するようになってからアトピーが緩和したという男性もおられ、自然素材で締めつけないというキモノの威力をあらためて実感した。
レクチャーでは、和裁士・山本秀司氏の演目がダントツの人気で、定員オーバーのお断りが心苦しかった。私自身、恥ずかしながら、かつては呉服屋さんから届く仕立て上りを「ダレが」縫ったのか、気にも留めていなかったのだが、様々な仕立てを着るうちに、その差に少し気がつき、「??」と思っているトコロで山本氏と巡り合えた。今回の展示会の副題でもある「作る。縫う。着る。」素材を布に織り上げる人がいて、仕立てる人がいて、着る人がいる。その全員がお互いの顔を知り、意見の交換ができる。これって、実はアタリマエのことではなかろうか?
来場者のお一人から(お買上げいただいたのですが・・・)、「こんなに色々な地域(沖縄)の、年代も幅がある織り手さんの作品を一堂に拝見できて、選べるなんて、ウレシイ!そして、このお値段なんだから・・・」というお言葉を頂戴し、感無量。頑張った甲斐があった。
開催概要詳細
◎2月29日(金)晴れ
レクチャー+実演「麻・芭蕉のきものは自分で洗える。靭皮繊維製品の取り扱い方」
講師:高橋裕博
参加者:10名
◎3月1日(土)曇り時々小雨
レクチャー+実演「こだわりの仕立て、あなたのための仕立て(+キモノのアイロン掛けノウハウ)」
講師:山本秀司
参加者:19名
◎3月2日(日)晴れ
レクチャー+実演「芭蕉・苧麻が繊維になるまで」
講師:島仲由美子
参加者:10名
講演「きものが生まれるまでの道のり」
講師:富山弘基
参加者:20名
「京の庭師田村文雄が案内する庭園&秘密の会席料理ツアー」
参加者:5名
東京展(2008)
場所:ラミュゼdeケヤキ(東京都新宿区内籐町1-6)
内容:展示、販売、レクチャー、ワークショップ
入場者:853名(記帳者数)
新宿御苑の隣に位置し、樹齢200年を超える大ケヤキに抱かれた素晴らしい会場に、ご来場の皆様も「ここが東京?」と、思わずタメ息・・・。枝垂れ桜の開花に合わせて時期を選んだのだが、3月末の暖かさで開花が早まり、残念。初日はJRの事故により、多くの路線が麻痺!花冷えの冷たい雨が降る中を、「こんな所にギャラリーが??」と、住宅街を迷い、迷い辿り着いてくださったお客様に感謝します。
幸いにも、芭蕉のワークショップの日は天気も回復し、庭での作業は順調に運んだ。たった2時間では、もちろん全工程を一からこなすわけにはいかないので、3分クッキングの要領で、芭蕉の原木(?)をはじめとする各工程の状態にある素材を用意し、芭蕉の皮が繊維になるまでの要所、要所を体験していただいた。
ワークショップ終了後、目立たないように、講師の島仲さんが庭の隅々に何か撒いておられる。米粒だ。お聞きすると、「こんな素晴らしい場所で仕事をさせていただきありがとうございました。無事終了しましたよ、と、土地の神様にご報告してお礼してるワケよ」とのコト。・・・感動した。
私は八重山の手仕事を紹介するとき、アタリマエのように「自然に感謝してその恵みをいただき、云々」と文章にしているが、実際に作業していない私にはやはりヒトゴトだったのかもしれない。土地の神様への感謝。思いつきもしなかった。恥ずかしい・・・。
由美子さんは声高には何もおっしゃらないが、「自然によって生かされている」という感覚は、息をするのと同じレベルで身の内にあるのだ。・・・昨今の流行とも言える、エコだのロハスだの。何だか傲慢に感じるのだが・・・。
展示に関しては、庭があるお陰で会場全体は広く感じられるけれど、実は展示スペースはそんなには広くなかった。目算を誤って作品数が多過ぎたのかもしれない。すべての作品を見ていただきたくて並べ過ぎ、かえってそれぞれの魅力が際立たなかったかもしれない。反省している。
開催概要詳細
◎4月11日(金)小雨
レクチャー「反物の風合いを生かすためのさまざまな工夫―砧打ち、揉み、地入れ、湯熨し、等々」
講師:高橋裕博
参加者:26名
◎4月12日(土)晴れ
ワークショップ「芭蕉・苧麻が繊維になるまで」
講師:島仲由美子
参加者:15名
レクチャー「こだわりの仕立て、あなたのための仕立て」
講師:山本秀司
参加者:20名
◎4月13日(日)曇り時々寒雨
ワークショップ「キモノ洗濯講座―絹の襦袢や麻の着物、水洗いと揮発洗い、アイロンの掛け方」
講師:高橋裕博、山本秀司
参加者:20名














