ワークショップ:2006年の活動
織りの原点を学ぶ----素材と道具の技術継承

ずっと前から、ある。
あたりまえに。
見慣れた情景、もの。
それは大切な、なくしたくないもの。
----さて、どうする・・・。
[島の恵みの勉強会]
石垣島の自然の恵みである、様々な天然染料。先人の叡智の成果である、竹筬をはじめとする数々の織道具。それらに感謝しつつ、使いこなし、継承していくためには、より深い学習が必要である。また、制作スタイルや携わる立場にかかわらず、八重山地域で染織に従事する人々が一堂に会し学ぶ機会は、新たな広がりに繋がるのではないかと考え、企画した。
場所:「少年自然の家」「大濱信泉記念館」(沖縄県石垣島)
対象:染織従事者、ぬぬぬパナパナ会員、一般
講師:下村 輝、高橋裕博
主催:ぬぬぬパナパナ+「織りの原点を学ぶ」ワークショップ実行委員会
共催:日本竹筬技術保存研究会(代表 下島 輝)
後援:石垣市教育委員会
協賛:みんさー工芸館、みね屋、やちむん館、(有)八重泉酒造、てぃーあんだ、やいま中央クリニック、他7社
「織りの原点を学ぶ」ワークショップ実行委員会
委員長:石垣博孝、
委員:大浜 豪、森 伸子、深石美穂、安本千夏、森田みゆき、大城拓也、荒木要一
記録:安本千夏、北原良子
協力:深石隆司(島の土採取)
[内容]
◎2006年10月13日
「麻・木綿・絹のわら灰や酵素を使った精錬法」
・染料(インド藍、クール、フクギ)の顔料化=紅型のみならず捺染での応用に向けて
・インド藍の乾燥葉建て
◎2006年10月14日
「石垣の染料(インド藍、ヤマモモ、シイ、ユウナの炭染め、島の土)を使った染色」
・精錬したものと、していないものとの染色の比較
・初日に顔料化した顔料での型染め
・親睦会(バーべキュー)
◎2006年10月15日
「日本竹筬技術保存研究会の成果発表」
・撚り機にて苧麻糸を撚り掛けし、経糸・緯糸をつくる
・撚糸機、糸車撚糸機の実演(絹を含む)
[結果報告]
参加者:〈13日〉68名、〈14日〉69名、〈15日〉50名
おそらく八重山で初めて行なわれた大規模な染色・染織に関するワークショップ。日本竹筬技術保存研究会の下村氏による竹筬や撚糸機のわかりやすい説明に、一同聞き入った。
その後さらなる染色ワークショップの開催を希望する声も多く、次回はもう少し絞り込んだ内容でと考えている。
[会場アンケートより抜粋]
・灰汁は材料によって効果が違うこと、また灰汁のつくり方を知ることができた。
・「泥染め」----身近にある土でも染められること、その発色定着法が自然任せであるということが面白かった。
・島の材料を型染めに使えるということに、びっくりした!
・「染め」は奥が深く、方法や環境によっても色が変わり、「こうだ」というやり方は自分の経験の中から見つけていくものなのだと感じた。
・織り道具の進歩、筬のつくり方、工程が詳しくわかった。糸に見合った筬の使用法があるということもわかった。
・原理原則を踏まえれば、工夫次第で使いやすい道具が考えられるということ、またそこに気付くことが大切であると感じた。
・「撚糸」----今まで難しいと思っていた経糸を自分でつくれる可能性が広がり、希望が持てた。竹筬をはじめとする、消えつつある道具を支えている方々の存在を改めて知り、ありがたく感じた。わかっているようで、わかっていない道具の本来の価値を、見直すきっかけもらった。
[関連記事掲載紙]
『ちゃんぷる〜』2007年 vol. 11 p. 76, 77 発行:(株)ライフスタイル研究スタジオ29
『染織α』2007年1月号 No. 310 発行:(株)染織と生活社
『情報やいま』2006年12月号 発行:南山舎
キモノのメンテナンスと染め替えワークショップ

夏。汗対策に追われる、キモノファンには悩ましい季節。
その方法と、キモノの染め替えを見学し、専門家からのアドバイスを聞く。
場所:大阪府豊中市 小田宅
対象:一般
講師:高橋裕博
助手:平林久美
[内容]
・呉服の汗対策
・ドライクリーニング問題およびパールトーン等撥水加工されたキモノへの対応の仕方
・キモノの染め替え、抜染を見学
・半襟のシミ抜き実習
[結果報告]
参加者:5名
汚れやシミ、若い頃のもので今では着られなくなってしまったキモノの染め替えでは、加工や模様によって臨機応変の対応をしなくてはならない。加工を加えることで、まったく新しいキモノに変身できる場合もあるが、安心して任せられる業者がほとんどいないという現状もある中、対価を考えた上で、きちんと判断ができるようになるためにも、消費者が正しい知識を身につける必要があるのだと実感した。
今回は予め用意した例題的なものによる対応を実際に紹介した上で、参加者が持参したものの相談や加工の解説を行なった。庭先や台所でできる本格的作業に、皆びっくり!
島染色植物の勉強会

沖縄で採れる植物からの染料抽出、染色技法、顔料化を学ぶ
場所:琉球絣事業共同組合(沖縄県南風原町)
対象:染織従事者、ぬぬぬパナパナ会員
講師:高橋裕博
主催:ぬぬぬパナパナ
後援:琉球絣事業共同組合
[内容]
・乾燥藍葉の灰汁建て
・泥藍の灰汁建て
・藍、ヤマモモ、茜、フクギ、クール、コチニール等の染料の、捺染のための顔料化
・沖縄における各地域の染色技法とその発色の違い
・染色における灰汁の使い方
・生ウコンの常温染めと灰汁染め
・沖縄の土による泥染め
・ユウナの墨染め
・墨による模様染め
・重ね染めする時の染料の選択
・布の精錬法
[結果報告]
参加者:〈21日〉24名、〈22日〉27名、〈23日〉22名、〈24日〉24名
のべ39名(うち全日参加者16名)
急遽決定したワークショップだったので広報も行き届かなかったが、多くの参加者を得、自然染色には馴染みの薄い沖縄本島の皆さんの熱心な反応に、やりがいを感じたワークショップとなった。
[会場アンケートより抜粋]
・染色では媒染工程を必ずしも経ないということを初めて知り、自然素材のすばらしさに感動した。
・灰汁の取り方など難しく考えていたので、自分でもできることを知り、勉強になった。
・すべて目からウロコだった。敬遠していた天然染料に親しみが沸き、親しみとは程遠い方向に、私の染は向かっていたのだと気がついた。
・泥藍、乾燥葉による藍建てが思ったより手軽に建てられ、染色できることがわかった。
・植物染料の顔料化似ついて、特に勉強になった。これまでの紅型では注目されていなかった面だと思う。閉塞を感じていたところに、明るい希望を見出せたような気がした。
「風水土のしつらい展」参加・出品
場所:大丸梅田店15F 多目的ホール(大阪府)
タラマバナ(紅花)----フォーラム&染色ワークショップ

「紅花」といえば誰もが山形県を思い浮かべ、南の島とは結びつかないかもしれないが、原産地はエジプト・地中海沿岸である。沖縄では紅花は「タラマバナ」と呼ばれ、琉球王朝時代には貢納品として重用された。現在は多良間島の村花に指定されている。しかし2005年現在、島ではほとんど栽培されておらず、その復興と保存に取り組む運天宏和氏(多良間村経済課課長)、幸子夫人をはじめとする婦人会の動きに呼応して、今や幻となりつつある「タラマバナ」を色々な角度から探っていった。
場所:沖縄県宮古郡多良間島
対象:多良間村民および染織従事者、ぬぬぬパナパナ会員
講師:花城良廣、高橋裕博、得能壽美
助手:後藤順子
記録:大沼ショージ、安本千夏
主催:ぬぬぬパナパナ
後援:多良間村
[内容]
◎フォーラム
2006年4月16日
○講演「紅花とタラマバナ----植物学的見地より」
講師:花城良廣
○パネルディスカッション「歴史資料の中の『多良間花』と村の記憶」
テキスト:得能壽美
コーディネーター:森 伸子
パネラー:花城良廣、運天宏和、西筋ヒデ、高橋裕博
○懇親会
◎染色ワークショップ「タラマバナ vs 山形・紅花」
2006年4月15・17日
対象:〈15日〉染織従事者、〈17日〉一般
講師:高橋裕博
・タラマバナの収穫およびその染料化
・山形紅花の染料化
・両地の冷水、常温水、苧麻、芭蕉、絹、木綿など素材を含めた染色比較
・天然染料色素の持つレミネセンスの体感(光源による発色性の違い)
・韓呉藍(からくれない)による絹の染色
[結果報告]
参加者:〈15日〉9名(専門的な内容のため染織従事者のみ)
〈16日〉29名(村民14名、一般5名、染織従事者10名)
〈17日〉20名(村民12名、染織従事者8名)
開会式:39名(村民24名、一般5名、染織従事者10名)
のべ97名(うち全日参加者18名)
現在、多良間島の婦人会などで栽培されている紅花は、8年前に山形から取り寄せられた種から育てられたものである。「熱帯・亜熱帯都市緑化植物園」(沖縄県国頭郡本部町)の元園長である花城良廣氏による講演では、エジプト、中央アジア、山形の紅花の植物としての特徴について説明があり、かつて多良間島で栽培されていた種への探究心が沸き起こった。八重山諸島や沖縄本島に点々と残る紅花の種・属の確定を目指して、今後取り組むこととなった。
中国、山形、多良間島の紅花の染色・色相比較実験により、タラマバナの紅は、より深みのある紫色を帯びていることが一目瞭然。島の気候と土壌によるものと考えられ、地域性を活かした新たな素材への期待が高まった。
以前多良間島では、若葉は野菜、花はお茶に利用されていたそうだが、染料のみならず、紅花の油を利用した石鹸など、夢は広がる。その後、2006年末に行なわれたタラマバナの植え付け面積は前年度より増え、取り組みは徐々にではあるが広まりつつある。
初めての染色体験に婦人会の方々も大層盛り上がった。会場となった村営「夢パティオ多良間」には、設備の整ったすばらしい体験学習用施設があり、今後も多角的な利用が期待される。
[関連記事掲載紙]
『家庭画報』2006年7月号 p. 98 発行:世界文化社
『ちゃんぷる〜』2006年 vol. 10 p. 48, 49 発行:(株)ライフスタイル研究スタジオ29





























